災害が発生したとき、災害医療において看護師の役割は、看護の知識や技術を提供することです。

他の専門家と協力することで、一人でも多くの命を救い、防げる災害死を無くすことを目的として災害看護を行います。しかし、災害看護は場所や状況、経過時間によっても変化します。どの時期に、どの様な看護が必要かは、災害サイクルによって違います。災害サイクルは、発生時期よりどのくらいの時間が経過したかで区分しています。災害直後を災害発生期と言い、まずは自身や周りの人たちの安全を確保したり、電気や水などの確認、救護を行ったりと初期の体制を整えます。発生から72時間までを急性期と言い、施設や機材、薬品などの状況を把握したり、被災者の安全の確保や職員の安否確認、ライフラインの状況を把握し、確保します。さらには被災者の対応を行うための体制を作ります。急性期から一ヶ月までを亜急性期と言い、二次災害が起こらないように、施設の環境を整えたり、感染症対策を行ったり、被災者の状況により転院調整を行います。

また、通常診察へ切り替える準備や職員の疲労ケアを行います。

数か月から数年が経つと、慢性期と呼びます。亜急性期までにやってきた看護を振り返り、今後の活動について、再び検討したり、被災者の心身の状態を把握したり、ケアを行ったりします。そして、慢性期から次の災害が発生するまでを静穏期と言い、災害に備えた人材育成や、災害物品などの把握や確認、防災訓練の実施などを行います。このように、災害時だけではなく、次の災害に備える災害看護は、災害医療において重要な役割を担っています。